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お役立ちコラムインボイス制度やIT導入補助金について
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(8)採択率を向上させるポイント〜IT導入補助金2022年デジタル化基盤導入類型
補助金で採択されるポイントは補助金の制度によって異なります。書類が全て揃っていて形式要件が全てクリアできていれば自動的に採択されるものもあれば、事業計画を作って自社の取組を説明し、審査員が点数をつけて良い点数の申請だけが合格するタイプの補助金があります。
IT導入補助金は後者の競争タイプです。なお以前に軽減税率が導入された際の軽減税率対策補助金は前者のタイプでした。軽減税率という国の制度変更により対応する事業者は、基本的には補助金が支給されていました。今回のインボイス制度の導入も国の制度変更であり、システム対応する事業者が漏れなく採択されることが望ましいですが、残念ながら採択されない事業者も出ます。
なお、前回の記事で採択率について触れましたが、インボイス対応のデジタル基盤導入類型の採択率は通常枠より高くはなっています。
デジタル化基盤導入類型の審査項目
採択率を高めるためには、まず公募要領に記載されている審査項目を確認しておきましょう。下記表の5つの項目です。
【デジタル基盤導入類型の審査項目】
審査項目 | 審査事項 | |
---|---|---|
事業面からの 審査項目 | (1)事業面の 具体的な審査 | ①自社がインボイスにも対応するための、生産性向上にもつながる効果的なツールが導入されているか? →申請時にアンケート項目に注意 |
②自社の経営課題を理解し、経営改善に向けた具体的な問題意識を持っているか 申請時にアンケート項目に注意 |
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政策面からの 審査項目 | (3)加点項目に係る取組の審査 | ③生産性の向上及び働き方改革を視野に入れ、国の推進する関連事業に取り組んでいるか これはすぐに取り組めるものではない |
④国の推進するセキュリティサービスを選定しているか これはIT導入支援事業者次第 |
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⑤「4-2 加点項目及び減点措置」(3)にある賃上げに取り組んでいるか これはぜひ取り組みたい |
①自社がインボイスにも対応するための、生産性向上にもつながる効果的なツールが導入されているか、というのは、申請時の経営状況に係るアンケート項目への回答が大事になります。
インボイス制度への取組については以下のような質問項目となっています。すでに全てインボイスに対応済みであれば、IT導入補助金は必要ないと見られてしまうかもしれません。また導入するITツールと整合性が取れている必要があります。例えば補助金で受発注の仕組みを導入するのであれば、受発注システム関するチェックボックスにチェックを入れておきましょう。
②自社の経営課題を理解し、経営改善に向けた具体的な問題意識を持っているか、というのは、申請時の経営状況に係るアンケート項目への回答が大事になります。
経営状況について理念や意欲について問われていますが、「わからない」「意識したことは無い」というのは、経営改善に向けた問題意識を持っていないと捉えられる可能性があります。ポジティブに回答することを心がけましょう。
③生産性の向上及び働き方改革を視野に入れ、国の推進する関連事業に取り組んでいるかというのは、地域未来投資促進法の「地域経済牽引事業計画」の承認を取得か、地域未来牽引企業に選定されており、「地域未来牽引企業としての目標」を経済産業省に提出していること、となります。残念ながらこの二つの取組みはすぐに取得できるものではありませんので、IT導入補助金のためだけに取得しようと考える難しいでしょう。
④国の推進するセキュリティサービスというのは、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を選定していることになります。これは提供されるITツールのIT導入支援事業者次第となりますので、多くの場合は加点になりにくいと考えられます。
⑤賃上げへの取組は、可能であればぜひ取り組みたい項目です。
事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させ、かつ事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にすることです。そしてその3年の事業計画を策定して、従業員に表明することです。
なお細かい条件として、被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加でもOKとなっています。また給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等であり、給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は含まれないことになります。
着実に採択されるためには、間違いをなくす
審査項目や加点項目を紹介してきましたが、大きな差がつきにくいのがIT導入補助金の特徴です。そのため、一番大事になるは、書類の添付間違いや数字間違いなどを無くすということです。
例えば従業員を雇用形態ごとに記載する箇所が、2箇所ありますが、数字がずれているとどちらが正しいのか、わかりません。特に通常枠の場合は、生産性の計画提出も必須であり、従業員の数が異なると生産性も異なってきます。
このように事業者自らが申請内容に間違いがないように慎重に入力するとともに、IT導入支援事業者でも間違いがないのかダブルチェックをしておくのが、一番着実な採択対策と言えるでしょう。
この記事の筆者
- ㈱にぎわい研究所 代表取締役 村上知也
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IT企業に13年の勤務の後、2008年に中小企業診断士登録。中小企業のデジタル化やWebマーケティングの支援を中心に活動中。
商工会議所などの多数の公的機関においてデジタル・IT関連のセミナーを実施している。