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(6)新設されたデジタル化基盤導入類型でインボイスに対応しよう〜IT導入補助金2022年

デジタル化基盤導入類型の概要

デジタル化基盤導入類型の補助内容については次の表のとおりです。対象となるソフトウェアは会計、受発注、決済、ECの4つの機能となっています。全て、請求書や領収書が絡んでくる業務分野です。そして、1機能だけであれば、3/4の補助率で、50万円まで補助されます。2機能以上にまたがる場合は、350万円までの補助額になりますが、50万円超の部分の補助率は2/3に下がります。

2機能にまたがる場合とは、受発注と会計の両方の仕組みや、レジや決済と会計の仕組みの両方を持ったもののような場合です。

さらにハードウェアも一部対象となっています。インボイスはレジからも出力を求められます。いわゆる領収書です。そのためPOSレジや領収書のプリンター、クラウド型のレジが動くタブレットなども対象となっています。ただし自分で好きなパソコンやタブレットが購入できるわけではありません。あくまでレジ等のソフトウェアとセットのハードだけが対象です。

そして、クラウドサービスの費用が2年分になったのも嬉しいですね。会計やレジやECなどのクラウドサービスは意外と安価なものも多いですので、1年の補助だと金額が小さくて、わざわざ補助金を申請するまでもないケースも多かったです。そのためソフトウェアのクラウドサービス2年分が対象になり、オプションや役務、ハードウェアも含めて組み合わせて申請できると、対象となる補助額も大きくなるので、補助金の活用のしがいがあります。

ソフトウェアの他、サービスやハードウェアも組み合わせて申請できる

IT導入補助金のデジタル化基盤導入類型はソフトウェアを導入するものですが、ソフトウェアの他、以下の図表のように、オプションや、役務(付帯サービス)、ハードウェアも組み合わせて申請することができます。

例えば、決済機能のあるレジをソフトウェアで選択して、オプションでレジと会計システムをデータ連携するツールを選択肢、役務で導入設定を選択し、レジをインストールするタブレットをハードウェアから選択するような組み合わせです。

ただし提供するIT導入支援事業者は1社ですので、1社で上記のようなセットを提供しているIT導入支援事業者を選定する必要があります。

採択率は何%くらいになるのか?

すでにデジタル化基盤導入類型の1回目については、採択が発表されました。採択件数は650件で採択率は87%でした。

件数の650件は、昨年のIT導入補助金1次で合計6,511件採択されたことを考えると非常に少なかったと言えます。これは新しくできた類型であり、IT導入支援者側も準備が間に合っていなかったことが理由です。6月に入ってからも続々とIT導入支援者自体は増えており、徐々に採択件数は増えていくでしょう。

また、採択率87%は補助金にしては高いと言えるでしょう。昨年のIT導入補助金の全体の採択率は59%でした。やはりインボイスの導入を主目的とするデジタル化基盤導入類型は通常枠より採択率が高く設定されるでしょう。

とはいえ数年前に実施された軽減税率対策補助金が要件さえ満たしていれば全て採択されていたことを思うと、落ちる可能性は残っています。採択されるためのポイントは第4回の記事で紹介します。

なお、補助金は予算が無くなれば終了のため、早い回の方が採択率は高いと言われます。IT導入補助金も、その傾向が昔はありましたが、昨年は各回の採択率に大きな差はなく、急いで早い回に申請するインセンティブはなくなってきました。とは言え、第何次まで募集がかかるかは不明なため、予算が無くなる前に早めに申請しておくに越したことはないでしょう。

この記事の筆者

㈱にぎわい研究所 代表取締役 村上知也

IT企業に13年の勤務の後、2008年に中小企業診断士登録。中小企業のデジタル化やWebマーケティングの支援を中心に活動中。
商工会議所などの多数の公的機関においてデジタル・IT関連のセミナーを実施している。