北海道大学 校友会エルム

北海道大学 校友会エルム写真1

北海道大学は、それまで学部や地域単位で分かれていた各同窓会を束ねる組織として2004年4月に「北海道大学連合同窓会」を設立。そして2016年6月、新たに在学生(学部生、大学院生)、教職員、保護者を正会員に迎え、「オール北大」体制で会員間のコミュニケーション連携と大学への支援体制を強化を図るため、北海道大学 校友会エルム(以下、エルム会)が設立された。
取り扱う情報は同窓会名簿などの個人情報が中心となるため、高レベルのセキュリティを確保する必要がある。また、北海道大学との責任分界点を明確にし、将来の法人化に備えるため外部サーバーの採用を決定。そこで短期間でのシステム構築を目指してエルム会が選択したソリューションがNTTPCコミュニケーションズ(以下、NTTPC)のSuitePRO V4およびUTMオプションだった。

課題
  • 個人情報を保護するため、高レベルのセキュリティを確保する必要があった
  • 最終的にはすべての基礎同窓会を包括する数万人規模のデータベースとなる予定
解決
  • UTMオプションでセキュリティを向上
  • SuitePRO V4のスケールアップ機能により必要に応じてサーバーリソースを増強可能

導入背景と課題

同窓会名簿を大学外で管理することに

それまで学部別、地区別に分かれていた各同窓会(基礎同窓会)を束ねる組織として2004年4月に設立された「北海道大学 連合同窓会」は、設立から十年余が経過した2014年6月、「北海道大学 連合同窓会あり方検討委員会」を設置し、関係者間のさらなる連携強化実現への道を模索。そして2016年1月の最終報告書答申を受け、同年3月、新組織エルム会の設立を目的として「北海道大学 校友会エルム設立準備委員会」が発足した。当時の課題について、北海道大学 総務企画部広報課で同窓会業務を担当する本間義将氏は振り返る。

外部サーバー・別アカウントでのセキュアな運用が必要

「当初より、エルム会は外部サーバーを採用して運用しようという方針でした」(本間氏)
その理由のひとつは、エルム会が将来の法人化を考えていた点にある。アカデミックドメイン(ac.jp)の使用は北海道大学の構成組織のみに限定されるため、別組織としての発足を目指すエルム会としては別アカウントを取得し運用する必要があった。また、同時に組織の独自性を担保するため、サーバーも学内に置かず、外部サーバーを利用することを決定した。さらに、セキュリティ上の理由もある。
「個人情報を扱う関係上、学内のサーバーとは完全に分離して責任分界点を明確にしておこうという意図もありました」(本間氏)

採用の決め手

必要なセキュリティを低コストで確保

2016年4月には「北海道大学 校友会エルム設立準備室」が設置され、同年6月1日についにエルム会が発足した。ちなみに「エルム」は「楡(ニレ)」のこと。同大の敷地内に自生していることもあり、校内のインフォメーションセンターやレストランなどの名称としても使われる、シンボル的存在となっている。

発足後、本間氏はすぐにWebサイトの構築、データベース設計に着手する。いささか進行が速すぎるように感じるが、そこにはエルム会独自の事情もあったようだ。
「エルム会の特長として、卒業生だけでなく大学の教職員、在学生・院生、さらに在学生の保護者も加入できるという点があげられます。2017年度の合格発表日から会員募集を開始する予定でしたので、すぐに業者を選定しシステム構築を開始する必要がありました」(本間氏)

信頼とスケーラビリティ、コストのバランス

そこで採用されたのがNTTPCのVPS(仮想専用サーバー)SuitePRO V4だった。
「新規加入や会費のオンライン決済、会員名簿の管理などをWebアプリケーション上で行うため、当初はNTTグループというブランドへの信頼から安心して選定しました。他のサーバーも検討したのですが、コスト面でも優れているという点でSuitePRO V4を採用しました」(本間氏)

また、発足直後でサーバーの負荷やデータベース容量の予測が立てづらいなか、導入後もIPアドレスを変更せずサーバーリソースを増強できるスケールアップ機能も選定理由のひとつとなった。

さらにNTTPCが運用しているVPSならではの強みもあったとか。
「地元のWeb制作会社でもNTTPCさんのソリューションを使った案件実績があり、システムの構築がスピーディーに進んだということもあったと思います。実際に2016年11月から作業を開始し、2017年3月には問題なくオープンすることができました」(本間氏)

導入効果と今後の展開

将来の会員増に向け盤石のセキュリティを準備

北海道大学 校友会エルム写真2

現在、一番の課題は会員を増やすことだという。
「本年度から募集を開始して、現在の会員数は1,000名程度。1年間に約2,500名の入学生がいますから、加入が任意であるという点を考慮しても割合としては少ないと感じます。TOEICの受験支援など、在学生・院生の就職活動や教育・研究活動への支援を行うための団体であるということを周知していきたいと思います」(本間氏)
実際に、本間氏は全国の国内地区同窓会を周り、エルム会の周知に努めている。

また、将来の会員増加に備え、ワンタイムパスワードの導入を予定するなどセキュリティの強化も図っている。
「各学部、各地域の基礎同窓会の名簿をすべてエルム会に一元化するということが究極の目標です。例えば本学で一番規模の大きい工学部では卒業生が4万人ほどになりますが、今後、こうした数万件規模のデータベースを統合するケースが予想されます。それまでに盤石のセキュリティを確保しておきたいのです」(本間氏)

WAFの導入でさらにセキュリティを向上

運用開始後もセキュリティに関しては情報収集を行っており、実際に2017年5月にはSuitePRO V4向けの統合的なセキュリティ機能であるUTMオプションを導入。信頼通りハイスペックなセキュリティオプション提供により、今後のシステム課題に向けセキュリティを高めた。

「将来データベースを統合していくにあたり、不正侵入検知・遮断という機能は必要不可欠だと考えていました」(本間氏)
同オプションには仮想専用サーバーのセキュリティを強化するファイアウォール機能に加え、アンチスパム、アンチウイルスなどが含まれるが、本間氏は中でもIPSの必要性を感じ、導入を決めたと言う。

北海道大学 校友会エルム写真3

また、UTMオプションの新機能であるWAFの活用も視野に入れている。
「システムではログイン処理やデータベースなどにWebアプリケーションを使用していますから、WAFはセキュリティ対策としてはかなり有効だと捉えています。ただ、現在北海道大学の卒業生の6割ほどが道外で活躍していることもあり、海外を含むどこからでもアクセスできるよう、近々検証を開始しようかと思っています」

多くの大学で同窓会費の納入率低下が問題となるなか、卒業生、教職員、保護者を含む「オール北大」体制で在学生を支援しようと試みるエルム会。今後の会員増加、発展に向け、準備体制は万全のようだ。

2018年5月取材

北海道大学 校友会エルム ロゴ
  • 北海道大学 校友会エルム
  • URL:http://www.alumni-hokudai.jp/
  • 設立:2016年6月1日
  • 事務局:札幌市北区北9条西6丁目 百年記念会館1F
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