株式会社NHKテクノロジーズ

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放送インフラに関する技術を担う株式会社NHKアイテックと、番組制作及び情報処理に関する技術を担う株式会社NHKメディアテクノロジーが経営統合する形で2019年4月に誕生した株式会社NHKテクノロジーズさま。現在では番組制作から視聴者さまの受信環境改善まで、放送に関わるほぼすべての技術を一気通貫で支える放送の総合技術会社として社会に貢献している。
また、同社は技術力向上や新たなサービスの創出を目指し、社内の研究開発活動「テクラボ」にも取り組んでいる。その一環として、災害時などに複数のライブカメラ映像を画像処理して放送リソースを作成する「多点映像処理」をクラウドサーバーへ移行する実証実験を実施。
今回は、その動作基盤としてNTTPCコミュニケーションズのクラウドサーバー「WebARENA IndigoPro」を採用するに至った経緯について伺った。

課題
  • 複数の映像ソースを画像処理するため高いCPUパワーが必要だった
  • 常時データの流入・流出があるためデータ量による課金は抑えたかった
解決
  • 豊富なプランから実証実験に必要なインスタンスを選択、随時変更可能
  • WebARENA IndigoProならデータ転送量による追加料金なし

導入背景と課題

放送局では未だオンプレミスサーバーが主流

株式会社NHKテクノロジーズ デジタル開発技術本部 番組設備整備部エグゼクティブエンジニア 佐藤彰氏によると、放送設備においては未だクラウドサーバーよりもオンプレミスサーバーのほうが主流であるという。
「私は入社以来、放送インフラ系の整備を主に担当しており、特に番組を出す設備、放送業界で『マスター』と呼ばれる部分を扱ってきました。マスターは何時何分にどういう番組を送出するかなどのコントロールを行う部分で、『放送局の心臓部』とも呼ばれます。万一番組が途中で切れてしまったり、予定と異なる内容を送出してしまったりすると即放送事故となってしまうため、放送局やケーブルテレビ局にとって重要な設備です。もしクラウドサーバーを利用するとなると、ストリームなどを遅延なく処理できるかの通信処理の問題や、通信網の整備及び管理、サーバーの管理など外部に起因する安定性を求める検討事項ができてしまうため、現在のオンプレミスサーバーのクラウド化にはなかなか踏み切れないのではないかと個人的には思っています。これらの問題が解決されれば近い将来は主流となるでしょう。」(佐藤氏)

多点映像処理クラウド化の実証実験を実施

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現在オンプレミスサーバーで動作させているものをクラウドサーバーに移行する試みは続けている。
「現在は家に帰ってテレビを点ければ番組を視聴できるという状況ですが、視聴環境は多様化し、テレビに限定されないような視聴スタイルも登場しています。また、業界内でもオンプレミスサーバーを持たずにマスター自体をクラウド上ですべて処理させる『クラウドマスター』という用語も登場しました。弊社には社員から実現したいことや検証したいことを募って経験させる『テクラボ』という研究開発活動があり、日々技術革新に応じた設計やアイデア創出に取り組んでいます。その取り組みの1つとして、クラウド上で多点映像処理し、放送リソースとして活用する取り組みを行い、オンプレミスサーバーの働きをクラウドサーバーに移行する際のメリット・デメリットや、どういう課題があるか、どのようなところに力を入れなければならないかなどを確認する必要がありました」(佐藤氏)

採用の決め手

常時データの流入・流出が発生する運用でも追加料金なし

WebARENA IndigoPro」選定の決定打となった点は料金設定だという。
「多点映像処理では、常に複数の映像装置が入力され、マルチ画面化された放送素材を放送局側に出力します。つまり常時データの流入・流出が行われている状態です。「WebARENA IndigoPro」はデータ転送量による課金がないため利用料の目安が付きやすかったという利点がありました。また、現在はクレジットカード決済が主流ですが、月末締め・翌月末払いという経理処理にも優しい周期が我々のフローに乗りやすかったという点もあります」(佐藤氏)
また、使いやすいコントロールパネルも選定理由としてあげていただいた。
「インスタンス立ち上げ時に、グローバルIPを登録して接続を絞る、いわゆる『穴あけ』と呼ばれる作業を行うのですが、非常にスムーズに行うことができました。設定自体は他のクラウドサービスでもできますが、特に直感的に操作でき、わかりやすいと感じました」(佐藤氏)
海外のクラウドサービスの場合、難解な用語が使用されていたりマニュアルが充実していなかったりするケースもあるが、国産サービスである「WebARENA IndigoPro」の利点をご評価いただいた。

ニーズに合った仮想CPUコア数を選択可能

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「実証実験では、多点、つまり複数のライブカメラの映像を組み合わせて1つにまとめ、新しいマルチ画面を作成します。放送の素材として使用するものですから、防災センターの監視カメラ映像のようにカメラ映像が整然と「田」の字状に並んだものではなく、適切な文字情報なども付加して、適切にレイアウトする必要があります。そうした画像処理にはそれなりにCPUパワーが求められますが、『WebARENA IndigoPro』にはメモリや仮想CPUのコア数といったインスタンスが段階的に選択できるようになっています。必要とされるパワーは分割画面数に比例しますが、運用の中で同時に利用する画面数はだいたい6つ程度です。そこで、余裕を見て最大9つ程度の画面数を処理できるものを選択しました。また、将来に、もし要件として16画面が必要となった場合でも、もう1つ上のランクを選定して対応することができます」(佐藤氏)
また、Linux系OS、Windows系OSの両方を利用できることも大きかったようだ。
「ディストリビューションが多数あり、相性の良いものを選択できたことも大きかったです。もともとオンプレミスサーバーのLinux上で動作していたものを移行する際もスムーズでした」(佐藤氏)
そのほか、10Gbpsの高速回線も選定理由としてあげていただいた。

導入効果と今後の展開

災害時などに視聴者さまに安心・安全をお届けする環境を構築

現在はサービスの構築も一段落し、安定して運用を続けている状態という。
「もともと実証実験ですのでどこかで利用しているという状況にはなっていませんが、サービスを開始したいという時にすぐに立ち上げられる状況にはなっています。災害に備えた平常運転という感じですね。こうしたサービスは有事の際に急に立ち上げようとしても難しいですし、仮に立ち上げたとしても視聴者さま側がすぐに視聴するということはなかなかありません。常時流しておき、視聴できるような環境を準備しておく必要があります。例えば大雨警報が発出されたのちに川の増水状況がどうなっているかをリアルタイムで放送するなど、視聴者さまに安心安全をお届けできるサービス構成になっています」(佐藤氏)
また、アフターフォローについてもコメントをいただいた。
「導入後も相談にのっていただいたり、セミナーをご紹介いただいたりしています。実際に私もセキュリティ関連オプションサービスについてのセミナーを受講しました。紹介されるサービスを導入するかしないかはその時々の必要性によりますが、今の技術がこうなっているという、最新の知見を得るにはこういったご案内はとても役立つと思います」(佐藤氏)

クラウドサーバーは実証実験向き

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今回の成果は「多点映像処理装置クラウドサービス」として国際放送機器展(INTERBEE)にも出展され、大きな反響があったという。
最後に、クラウドサーバーの利点について佐藤氏に伺った。
「クラウドサーバーを利用する利点は、自社でオンプレミスサーバーを所有しなくても平準化した料金でサーバーを使用できる点にあります。短期間利用したり、イベントの間だけ立ち上げたり、といった用途に関しては非常にメリットがあるのではないでしょうか。そのため、先ほどお話しした研究開発活動『テクラボ』でも、クラウドを活用して、やクラウドに何かをさせて、という提案は多くなっています。そういったニーズには適しているのではないでしょうか」(佐藤氏)
「“公共メディア”NHKを支える総合技術会社として、創造性に富む企業文化を構築するとともに、多様な専門性と確かな技術力により社会に貢献します」を経営理念に掲げる株式会社NHKテクノロジーズさま。我々が日々何気なくテレビ放送を視聴する環境の陰には、同社による日々の弛まぬ技術革新への尽力があるようだ。

2024年4月取材

株式会社NHKテクノロジーズ ロゴ
  • 株式会社NHKテクノロジーズ
  • URL:https://www.nhk-tech.co.jp/
  • 代表取締役:野口 周一
  • 設立:1969年7月23日
  • 資本金:6億8,000万円
  • 所在地:〒150-0047 東京都渋谷区神山町4-14 第三共同ビル
  • 事業内容:放送技術を中心とした総合技術会社
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