株式会社はとバス

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戦後間もない1948年に「観光事業を通じて多くの日本の人々に夢を、外国の人々には平和な日本の真の姿を紹介したい」という理念のもとに創業された株式会社はとバスさま。馴染み深い「黄色いバス」での東京観光のイメージが強いが、現在では郊外への企画旅行やホテル事業、路線バス受託事業、不動産事業などを幅広く手掛けている。
同社の特長の1つにジョブローテーション制度の採用がある。専門的な部署も含めて、社員は3~4年毎に各部署の業務を経験する。各部署ではそれぞれ専門的なソフトウェアを利用しているため、PCは個人に割り当てるのではなく、各部署に固定する形を採用している。ただし個人に属するメールアドレスについては別途移行作業が必要となるため、同社情報システム課の負担となっていた。
今回は、メールホスティングの採用により業務の効率化を実現した経緯について、同社経営本部 経営戦略部 情報システム課 課長 千田友也氏に伺った。

課題
  • メールの移行作業に時間がかかっていた
  • 個人情報を手厚く保護する必要があった
解決
  • メールホスティングの採用で工数を大幅削減
  • 使用方法を限定して個人情報を保護

導入背景と課題

ジョブローテーション制度にともなう煩雑なメール環境移行が課題

株式会社はとバスさまでは、ジョブローテーション制の採用によりメール環境の移行が情報システム課の負担となっていたという。そのあたりの状況を千田氏にお聞きした。
「弊社の業務は多岐にわたります。例えばバスのドライバーさんやガイドさんの配置には専用の運行管理システムを利用しますし、財務には財務、人事には人事、ホテル予約にはホテル予約などという具合に各部署で専門のソフトウェアを利用しています。そうした土壌があるため1人1台のPCを貸与することは難しく、各部署にPCを配置し、身1つで異動していただくという形を採っています」(千田氏)
確かにジョブローテーションの移動にともない各ソフトウェアを新規にインストールするとすれば、各ソフトウェアに社員人数分のライセンス料金が発生するため現実的ではない。ただし、その場合には社員個人に帰属するメールアカウントについては情報システム課において個別に移行作業が必要となり、その業務負担は大きかったという。

観光事業では、個人情報の保護が必要不可欠

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また、個人情報保護の観点からもメールの取り扱いには慎重さが求められていたという。
「観光事業では、お客さまの個人情報を数多く取り扱います。特に予約システムなどは個人情報の塊といってもよく、例えばもしお客さまに誤った振込用紙や催行予定を送付してしまったら信用を失い、次回のご予約をいただけないといった事態も発生しかねません。現在でこそ個人情報の取り扱いにはどこの企業さまも慎重になっていますが、弊社ではそれ以前から個人情報の取り扱いには慎重を期していました。そこで、社内では使えるが自分達の手の届かないところでは使えない、いわば『どこでも使えるが、どこでも使えない』という無茶なRFPを書くこととなりました」(千田氏)

採用の決め手

オンプレミス、クラウド双方の利点を生かす形態へ

そうした状況の中、千田氏が選択したソリューションはメールホスティングだった。どういった点が決め手となったのだろうか。
「当時使用していたメーラーでは、データがすべて個人の端末に保存されていました。そのため、異動が発生する半年のタイミングごとにそのデータを取り出して新たに配置される部署に持っていき再設定するという作業が発生していました。この手間を省くため、当時主流となりつつあったクラウド製品に完全移行するか、それとも社内のオンプレミス環境を継続するかで議論をした結果、その折衷案ともいえるクラウドのメールホスティングとオンプレミスのグループウェアの併用により、運用上の課題の解決と社内ポリシーに沿ったメール利用を実現するという現在の形に落ち着きました」(千田氏)

採用の決め手は拡張性、料金面にも

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また、将来の拡張性、料金面でも優位性があったという。
「現在はオンプレミスとして運用していますが、ゆくゆくはリモートワークなどへの対応も考え、クラウド運用も検討しています。また、例えば仮にシステムがダウンしたとしても、緊急避難的にクラウド運用に移行すればログイン情報を伝達するだけで役員の方々の業務が継続できるというBCP的な観点からも有用です。そうした『いざという時の対応』を含めても、料金面では『お手頃料金』というか、稟議が通しやすかったですね」(千田氏)

導入効果と今後の展開

メール移行の工程を大幅削減、使用方法を限定して個人情報を保護

では、導入後の効果はどうなのだろうか。具体的な効果についてお聞きした。
「弊社は横浜市の野庭町にも車庫があります。京浜急行の最寄り駅からバスで20分ほどの距離にあるところですが、例えば野庭に在籍する社員が路線バス受託事業本部のある青戸支所への異動があった場合、私はまず野庭にPCを取りに行き、青戸に寄り、もし青戸在籍の社員が杉並支所への異動があるとなると続けて杉並区に赴く必要があります。なるべく一筆書きで回れるように、と前日からルートを考えていましたが、数日がかりの作業でした。それが今ではシステム上で1日かからずに処理できるのですから導入効果は計り知れません」(千田氏)

導入効果は個人情報保護の観点からも

前述のように、観光事業では個人情報の保護も重要となる。その面からもメールホスティングは適していたという。
「現在、オンプレミスで構築しているグループウェアはメーラーではなくメール閲覧ソフトとして利用しています。グループウェアはポリシー上社外からは閲覧できない設定になっているため、情報漏えいを防ぐ効果があります。また、信頼性という面では『NTTのサービスである』というネームバリューもあったかもしれません。弊社は以前から実績や安全性を重視して協業相手を選定してきたという経緯があります」(千田氏)。
メールホスティングの高い安定性を実現する冗長構成、豊富なセキュリティ対策機能などが個人情報の保護に注力する株式会社はとバスさまのニーズに見事にマッチしたようだ。
安全で安定したメール運用が同社のさらなる成長に寄与することを期待したい。

2023年7月取材

株式会社はとバス ロゴ
  • 株式会社はとバス
  • URL:https://www.hatobus.co.jp/
  • 代表取締役:武市 玲子
  • 設立:1948年8月14日
  • 資本金:1億円
  • 所在地:東京都大田区平和島5-4-1
  • 事業内容:一般乗合旅客自動車運送事業(都内・近郊定期観光バス)、一般貸切旅客自動車運送事業(一般団体・募集団体の輸送)、第2種旅行業、ホテル事業(銀座キャピタルホテル)、自動車整備業、路線バス受託事業、不動産賃貸業
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